光を体験しよう 〜光のじっけん室〜

カメラを作ってみよう

デジタルカメラで「超かんたん」立体写真を作ろう

真直ぐに立って、右足に体重を移して一枚、次に左足に体重を移して一枚、写真を撮ります。
むずかしさレベル 2

「立体写真」とか「3D写真」というものを見たことがあるでしょうか。
2枚の並んだ写真を左右の目で別々に見ると、奥行きのある映像が浮かび上がります。
これを特別なカメラなどを使わず、デジタルカメラとプリンタで、かんたんに作ってみましょう。

準備するもの

  • デジタルカメラ
  • プリンタ(デジタルカメラの写真をプリントできるもの。コンピュータパソコンがあればなお良い)
  • 厚紙(B6ぐらいの大きさがあればよい)
  • 台紙(やや厚めの紙。使い古した葉書でよい)
  • この他に、はさみ、定規、カッター、セロハンテープ、のりなどを使います。

はさみを使う時には、ケガをしないように、十分に注意しましょう。

組み立てよう!

step1 準備

厚紙のまん中に、定規を使って6cm×6cmの正方形を描き、カッターで切りぬいて穴をあけておく(型枠)。

step2 撮影
真直ぐに立って、右足に体重を移して一枚、次に左足に体重を移して一枚、写真を撮ります。

真直ぐに立って、右足に体重を移して一枚、次に左足に体重を移して一枚、写真を撮ります。

  1. 被写体(ひしゃたい)はなんでも良いが、できるだけ奥行きのあるものや、前景や背景がある場所を選ぶ。なお、動いているものが入るとうまくいかないことがあるので注意する。
  2. カメラを構えるとき、両足を左右に開いてまっすぐに立つ。
  3. まず、右足に体重を移して(体がやや右側による)1枚撮影し、すぐに体重を左足に移して(体がやや左側による)もう1枚、同じ構図で撮影する。このとき、上半身や腕をできるだけ動かさないように注意し、カメラの傾きはもちろん、ズームや露出(ろしゅつ)などはいっさい変えないこと。
step3 写真の製作
撮れた写真をプリントして……

撮れた写真をプリントして……

できあがった写真をサービスサイズ(できれば7×10cmぐらい)の大きさでプリントする。このとき、撮影したときの左右を間違えないように、プリントの裏などに「右」「左」と書いておくと良い。

step4 写真の製作
同じ対象が写っている場所を切りとります。

同じ対象が写っている場所を切りとります。

準備で作った厚紙の型枠をプリントにあてて、2枚のプリントで同じものが写っている場所に、えんぴつでなぞって四角形を描く。このとき、画面の傾きにも注意すること(2枚に写っているものの傾きが同じになるようにする)。

step5 写真の製作
右足荷重で撮った写真を右に、左足荷重で撮った写真を左に並べて……

右足荷重で撮った写真を右に、左足荷重で撮った写真を左に並べて……

えんぴつの線でプリントを切りとり(6×6cmの四角いプリント2枚になる)、2枚を真横に並べて台紙に貼りつける。このとき、右で撮ったプリントは右に、左で撮ったものは左になる。間違えないように注意する。

観察してみよう!

step1 観賞のしかた
  1. 明るい場所で、目の真正面25~30cmぐらいのところにプリントを貼った台紙をかざす。横の線が水平になるように調節する。
  2. まず、遠いところ(台紙よりも2m以上先)をゆったりと眺め、目をリラックスさせておいて台紙に視線を移す。このとき、右目が右のプリントを、左目が左のプリントを見るように、視線を平行に保つ。慣れないうちは、2枚のプリントの間に下敷きなどをまっすぐに立てておくとよい。

立体写真は目の感覚のしくみを利用して、平面が立体に感じるようにしむけています。
長時間見つめていると、気持ちが悪くなる場合がありますので、あまり長い時間にわたって見続けるのはやめましょう。
実験のあと、遠くを見て目をリラックスさせるとなお良でしょう。

なぜ

人間の2つの目は、左右に分かれてついています。つまり、何かを見たときに左右の目では、見ている場所が少しだけちがうのです。このため、右の目で見ている画像と左目の画像とでは、わずかな違いがあります。目の情報を受け取った脳では、このわずかな違いを比べることで、奥行き(立体感)を感じ取っているのです(※注)
この立体写真では、右側で撮影した画像を右目で、左側からの画像を左目で見ます。実際に見ているのは目の前にある平面のプリントですが、左右の目にはそれぞれちがった画像が入っているわけです。これが脳に伝わったとき、脳は左右の画像の違いから、見ているものに奥行きがあると錯覚(さっかく)するため、私たちは立体感を得ることができるのです。

※注
実際に視角(しかく)が奥行き(おくゆき)を感じ取るときには、上のような「左右の目からの見え方のちがい」だけでなく、左右の眼球が向いている方向や、ピントを合わせるための筋肉の動きなど、いろいろな情報を使っています。また、「遠くのものは小さく見える」とか「近くのものはよりはっきり見える」などといった経験も、奥行き(おくゆき)を感じ取る手がかりにしていると言われます。この実験で作ったような立体写真が、見たときに何となく奇妙な感じがするのは、このようなさまざまな情報のうちの1つだけで立体感を作っているためであると考えられています。

山村 紳一郎(やまむら しんいちろう)先生
さまざまな雑誌や書籍、イベントで自然科学の最先端情報から科学の楽しみ方・遊び方を、紹介・提案し続けるサイエンスライター。
和光大学非常勤講師。成蹊学園サステナビリティ教育研究センター客員フェロー。

もっとしろう!

応用

撮影するとき、左右の幅をいろいろに変化させてみましょう。左右の幅が広いときと狭せまいときとでは、できあがった立体写真にどのような変化が出るでしょうか?

台紙に貼る左右のプリントを入れ替えてみると、どのような印象の立体写真になるでしょうか?

まとめてみよう!

ほかのじっけんもやってみよう