「かんたんステンドグラス」は、光の「偏光(へんこう)」という現象(げんしょう)を利用したじっけんです。
光は波のせいしつをもっていて、わたしたちにはその波の山と山のかんかく(波長といいます)の違いが「色」として見えているのです。
そして、光の波はふつう、さまざまな向きにゆれながら(=振動(しんどう)しながら)進んでいきます。偏光シートは、ある一方向のゆれの光だけをよく通す働きをもっています。偏光シートは、目に見えないほど狭いすき間がきそく正しくならんだ “すだれ”のようなしくみがあって、そのすき間と同じ方向にゆれる波をよく通し、ほかの向きにゆれる波をさえぎります。光のゆれの向きをひとつの方向にかたよらせるはたらきがあるのです。※
このじっけんでは2枚目の偏光シートの向きを1枚目の向きと直角にするため、1枚目を通った光は2枚目を通りぬけられず、間に何もいれなければ窓はほとんどまっ暗になります。
※ ゆれの向きが一つにかたよる現象を「偏光」と呼びます。
さて、セロハンテープをはりこんだ透明のシートを2枚の偏光シートの間に入れると光が通るのはなぜでしょう?じつはセロハンテープは、拡大しても見ることができないほどの小さなつぶ(分子といいます)が同じ向きを向いてできています。このようなしくみをもっているものを光が通ると、光のゆれの向きがわずかに変わります。1枚目の偏光シートを通った光のゆれの向きは、テープを通るとねじれるように変化するため、2枚目の偏光シートを少しだけ通るようになります。ねじれる向きは、通り抜ける“もの”の種類や厚さなどによって変わるため、テープの厚さや向きによってちがう波長(=色)の光だけが通りぬけ、色がついて見えるのです。