光を体験しよう 〜光のじっけん室〜

カメラを作ってみよう

ルーペ顕微鏡

作りながら、ルーペや顕微鏡のしくみを考えていきます。
むずかしさレベル 2

小さなものを拡大して観察するとき、10倍ぐらいまではルーペ(虫めがね)を、それ以上の倍率では顕微鏡を使うことがあります。
両方ともレンズを使った光学機器です。
ルーペ2個を組みあわせると、数10倍で観察できる顕微鏡ができます。ルーペ顕微鏡を作りながら、ルーペや顕微鏡のしくみを考えていきます。

じっけんの目的
ルーペや顕微鏡には凸レンズが使われています。凸レンズはものを拡大し、ものの像を作ることもできます。1個のルーペで作った像を別のルーペでさらに拡大して見ると、ルーペ1個だけのときよりも大きく見ることができます。

準備するもの

  • 筒型のルーペ:2個…写真用などの5〜10倍ほどのものが適しています。今回は100円ショップで入手したルーペをつかいます
  • 紙筒(食品ラップなどの芯に使われているものを利用します。紙を丸めて作ってもできます)
  • A4大の黒画用紙
  • 棒アイスのスティック(または割りばしなど)
  • 輪ゴム
  • 黒マジック
  • はさみ
  • セロハンテープ、両面テープ、木工ボンド
  • 定規 など

参考:デジタルカメラやスマートフォンを使って写真を撮ることもできます。

準備するもの 準備するもの

はさみを使う時には、ケガをしないように十分に注意しましょう。

組み立てよう!

step1

紙筒の長さは20~30cmが良いでしょう。長いほど倍率が高くなりますが、使いにくくなります。ルーペの倍率が10倍ぐらいのときは約20cmの筒、5倍ぐらいのときは約30cmのラップ芯を使うとよいでしょう。

step2
Step1

筒の中に画用紙をまるめて入れます

黒画用紙を、タテが筒の長さ、横が筒の直径×3〜4になるように切り、軽くまるめて、筒の中に入れます。内側でよぶんな光が反射するのを防ぐためです。

step3
Step3

ルーペA(対物レンズ)はレンズのある側をテープで取りつけます

ルーペA(対物レンズ)を筒の先端に合わせて、テープなどで取りつけます。ルーペの上のはじが筒にぴったりくっつくようにします(ボンドで補強するとがんじょうになります)。これが観察するものに近づける「対物レンズ」になります。

step4
Step4-1

ルーペB(接眼レンズ)を筒にかぶせ、テープで取りつけます

Step4-2

ルーペの透明な部分がある時は、黒画用紙を貼りつけて透明な部分をおおいます

Step4-3

完成

ルーペB(接眼レンズ)を筒の反対側にかぶせ、テープなどで取りつけます。これがのぞき込む「接眼レンズ」になります。このとき、筒の直径によっては、ルーペの透明な部分から光が入ることがあります。この場合は、透明な部分をおおうように黒画用紙などを貼りつけておきます。

観察の前に調整しよう

step1
Step1

輪ゴムはスティックがはずれないくらいに

筒の先側に、棒アイスのスティックをあてがい、輪ゴムで2〜3カ所をしばりつけます。先が5cmほど突き出すようにしておきます。

step2
Step2

スティックを伸び縮みさせてピントの合うところを探します

明るい机の上などに模様がはっきりしたものを置き、対物レンズ(ルーペA)を先にして棒アイスのスティックの先端を当てます。写真では方眼が書かれたカッターマットを置いています。

接眼レンズ(ルーペB)からのぞきながら全体を少しずつ押し下げ、スティックを押し込みます。近づきすぎたらスティックを引っぱって少しのばします。

ピントが合ったら調整完了です。スティックの先端がピントの合う距離のめやすになります。

観察してみよう!

観察してみよう!

観察は、スタンドや明るい窓のそばなど、明るい場所で行います。

見たいものを手で持つか机の上に置き、見たいものがスティックの先端の位置になるように、ルーペ顕微鏡の先を当てます。ルーペ顕微鏡本体を少しずつ前後させて、ピントを微調節しながら観察します。

写真を撮るときは、まず目でみてしっかりとピントを合わせてから、カメラやスマホのレンズ先端をルーペB(接眼レンズ)に近づけてシャッターを押します。ぶれを防ぐため、速いシャッターが切れるように懐中電灯などで観察したいものを照らしたり、カメラの感度を少し上げておくといいでしょう。

アルミ定規のめもり(作例の顕微鏡で撮影)

アルミ定規のめもり(作例のルーペ顕微鏡で撮影)だいたい4mmほどが大きく視野いっぱいに見えています

本の表紙(作例のルーペ顕微鏡で撮影)

本の表紙(作例のルーペ顕微鏡で撮影)細かい点の集まりで印刷されていることがわかります

もっとしろう!

ルーペ顕微鏡のしくみ

ものを大きく見たいとき、ものに近づけば近づくほど大きく見えます。でも、近すぎると眼のピントが合わなくなります。

近すぎると眼のピントが合わなくなり、ぼやけます

ルーペは目の前に凸レンズを置くことで目に近い位置でもピントが合い、ものを大きく見ることができます。凸レンズの「光を集める」はたらき、つまり光を内向きに屈折するはたらきで大きく見ることができるようになるのです。

ルーペのしくみ
どうして元の向きに見えるの?

網膜には、水晶体(すいしょうたい=眼のレンズ)でできた像が写ります。レンズでできる像は上下左右がさかさまになります。この情報が脳に送られますが、人間は、脳の中で元の向きになおすので、さかさまでない姿としてとらえます。

この顕微鏡では対物レンズ(ルーペA)によって、観察するものを拡大した像が筒の中の空中にできます。これを接眼レンズ(ルーペB)でさらに拡大して見ています。

ルーペ顕微鏡のしくみ

ルーペ顕微鏡のしくみ

2つの凸レンズのはたらきが合わさって、高い倍率になります。しかし、倍率が上がると見える範囲がせまくなり、レンズの収差*の影響も大きくなるので、像のシャープさがへります。倍率が高くなりすぎないように、筒の長さを調節しましょう。

*:レンズの収差…レンズなどで光を集めて像を作るとき、完全な1点には光を集めることができません。そのため、像がぼけてしまいますが、これは光とレンズの性質によるもので、倍率が高いほど影響が大きくなります。カメラなどではこの収差を取りのぞくため、数多くのレンズを組みあわせたり材料や形に工夫をこらした特殊なレンズを使っています。

【観察のコツ】

凸レンズが作る像は上下左右が逆になります。顕微鏡でのぞいたときも上下左右が逆に見えるので観察したい場所を探すとき、動きも逆になることを覚えておきましょう。

  • 身近なものを観察してみましょう。観察しやすくおもしろい対象としては、紙や布などの表面、食塩や調味料などの粒、昆虫や植物のからだの一部などがあります。
  • 長さが異なる筒を何本か用意すると、倍率を変えて見ることができます。見え方をくらべましょう。伸縮できるような二重の筒を工夫すると、ズーム式の顕微鏡になります。
  • また、いろいろなルーペで試してみるのもおもしろいじっけんです。対物レンズと接眼レンズにちがう種類のルーペをつかったとき、見え方がどのように変化するかをくらべるなどすると自由研究としてのテーマが広がりますね。

まとめてみよう!

この実験では
1:ルーペの凸レンズが像をつくること。
2:2つのレンズ(ルーペ)を組みあわせると、より大きく拡大できること。
3:ルーペの間隔(筒の長さ)が変わることで倍率が変化すること。
などを調べることができます。それぞれについて考えながら、やったことや気づいたことをノートにまとめていくといいでしょう。また、作った顕微鏡で観察したものの内容や気づいたことをメモしましょう。

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