光を体験しよう 〜光のじっけん室〜

カメラを作ってみよう

ビー玉魚眼レンズで撮影しよう

小さな像をルーペで拡大して撮影する筒を作り、デジタルカメラで写真を撮って見てみましょう。
むずかしさレベル 2

魚は外敵から身を守るため、周囲のとても広い範囲をいっぺんに見ています。
このために魚の眼のレンズは、私たちの眼とはちがってビー玉のようにまん丸です。これをもとに考えられたのが「魚眼レンズ」。
ビー玉を利用すると似たような写真が写せます。

じっけんの目的
ビー玉を風景などに向けて持ち、少しはなれたところからのぞくと、魚の眼のように小さくて上下左右さかさまの風景が見えます。この小さな像をルーペで拡大して撮影する筒を作り、デジタルカメラで写真を撮って見てみましょう。

準備するもの

  • 無色とうめいのビー玉(直径18~25mmぐらいが使いやすい)
    …色つきのビー玉だとちょっと変わった写真が撮影できます。
  • 写真用ルーペ(5倍ぐらいのもの)
  • A4大の厚ボール紙(0.7~1mm厚程度)
  • A4大の工作用紙または厚紙(筒を作ります。ラップの芯などを利用することもできます)
  • 油性マジックなど(黒)
  • サークルカッター(円形切り抜きカッター)
    …サークルカッターがないときは、コンパスなどで円を描いてはさみでていねいに切りとります。
  • カッター、カッティングマット、はさみ
  • ホットボンド、セロハンテープ、両面テープ、定規、えんぴつなど
  • デジタルカメラ(スマートフォンでも可)

はさみやカッターを使う時には、ケガをしないように十分に注意しましょう。

組み立てよう!

step1 いろいろなものを測ろう

使用するカメラの、レンズの長さ(電源を入れてもっとも長くなったとき)と根もとの直径、ルーペの長さと直径、ルーペレンズの直径を測っておきます(数mmの誤差があってもかまいません)。また、ビー玉の直径も測っておきましょう。

step2 レンズにあわせた筒を作ろう
  • 部品1…〔レンズの長さ+5mm〕の幅で工作用紙を切り、しごいてくせをつけてから丸めます。いきなり曲げると折れてしまいます。
  • レンズの根もとの直径に合わせ、ぴったりはまるような筒にしてテープでとめます。
step3 ルーペをとりつける筒を作ろう
  • 部品2…1辺の長さが〔カメラレンズの根もとの直径+1~2cm〕の正方形を、厚ボール紙から切りとり、真ん中に〔ルーペのレンズ直径-約5mm〕の円を切り抜きます。
  • 部品3…〔ルーペの長さ-5mm〕の幅で工作用紙を切り、しごいて丸めます。ルーペに巻きつけて筒の形にして、テープでとめます。ルーペが抜き差しできるように少しゆるめに作ります。
  • 部品4…厚ボール紙から〔ルーペの根もとの直径+約10mm〕の円盤を切りとり、ビー玉の直径×0.9の大きさの円を切り抜きます。
step4 部品を組み立てよう

作った部品を並べ、足りない部品がないか、大きさはあっているかなどを確認しましょう。

  1. 部品1~4は写真の順番に接着していきます。つけるときは位置を合わせてから、ホットボンドでとめると簡単にできます。
  2. 先端のドーナツ板に、同じようにホットボンドでビー玉を取りつけます。できたら、カメラにはめこんでテープなどで固定します。

ホットボンドは器具の先が熱くなります。やけどに注意しましょう。

部品1が短いとカメラのレンズにぶつかることがあります。カメラのスイッチを入れる前にしっかり確認しましょう。
カメラに取りつけるときは、ボンドなどを使ってはいけません(故障の原因になることがあります)。軽くテープでとめて、実験が終わったら取りはずしておきましょう。
スマートフォンでもじっけんできますスマートフォンでは部品1は使いません。部品2を直接スマートフォン本体にテープなどで取りつけます。このとき、スマートフォンのレンズがルーペレンズの真ん中になるように位置を調節します。

観察してみよう!

  • カメラのスイッチをいれて、ビー玉を撮影したいものに向けます。カメラのモニターいっぱいに像が写るように、ズームするといいでしょう。
  • モニターに映る像のピントがだいたい合うように、部品3を前後に抜き差しして調節します(最終的なピント合わせはカメラのオートフォーカスで行います)。
  • カメラのシャッターボタンを半押ししてピントを合わせて、シャッターを切ります。

自動車などがこない安全な場所で撮影しましょう。

カメラにはテープで軽く取りつけてあるだけなので、激しく動かすとレンズがはずれます。はずれても落とさないように、筒の下に手をそえて撮影すると安心です。

撮影のしかた

作例写真1

作例写真2

ビー玉レンズのしくみ

ビー玉レンズのしくみ

ビー玉はレンズのようにガラスでできていて、光を屈折させて像を作ります。表面のカーブがきついので広い範囲からの光を集めることができ、できた像は小さいですが広い範囲を写し出しています。ただし、周辺の像は普通のレンズとはちがって、大きく曲がって見えます。

ビー玉でできた像を拡大してデジタルカメラで写すために、カメラレンズの前にルーペを入れています。ルーペを使うことで、ふつうのデジタルカメラではピントが合わないほど近くにもピントを合わせることができます。

レンズでできる像は上下左右が逆になりますが、ビー玉でもこれは同じです。一度ビー玉でできた(上下左右が逆の)像をデジカメで撮影するため、カメラのモニターに映る画像も上下左右が逆になります(後で観賞するときにひっくり返せば普通の写真になります)。

山村 紳一郎(やまむら しんいちろう)先生
さまざまな雑誌や書籍、イベントで自然科学の最先端情報から科学の楽しみ方・遊び方を、紹介・提案し続けるサイエンスライター。
和光大学非常勤講師。成蹊学園サステナビリティ教育研究センター客員フェロー。

もっとしろう!

ビー玉の大きさや種類で、写り方はどのようにちがうか調べてみましょう。色つきや中に色ガラスが入ったビー玉を使うと、変わった写真が撮影できます。

近くにあるものと背景とでは、写り方がちがうのがわかると思います。いろいろな方向に向けて撮影して、写り方を調べてみましょう。

ビー玉と部品3、4の部分を取りはずすと、超クローズアップができます。昆虫や花などをビー玉なしで撮影してくらべてみましょう。

まとめてみよう!

この実験では
1:ビー玉がレンズのようにはたらいて像をつくること。
2:ビー玉がつくる像は大きくゆがんでいること。
3:ルーペのレンズを利用することで、別のレンズ(この実験ではビー玉)でできた像を撮影することができる。
などを調べることができます。それぞれについて考えながら、やったことや気づいたことをノートにまとめていくといいでしょう。

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