光を体験しよう 〜光のじっけん室〜

光でてじな

流れる虹を写真に撮ろう

シャボン玉の表面には虹のような色が現れます。
むずかしさレベル 1

シャボン玉の表面には虹のような色が現れます。光の当て方を工夫して、さまざまに変化する虹のようすを観察しましょう。
長い時間観察できる「われにくいシャボン玉の液」の作り方や、カメラでうまく撮影するコツもご紹介します。

じっけんの目的
外でシャボン玉をふくらませると、空からの光できれいな虹のもようが見えます。部屋の中でも外と似たような光の条件をつくることで、虹がかんさつできます。
シャボン玉をじっくりかんさつするには、われにくくする工夫が必要です。ふつうの石けん液ではなく、洗濯のりなどをまぜることで丈夫なシャボン玉をつくれます。

準備するもの

  • 台所用の中性洗剤(洗剤の成分が多いコンパクトタイプが適していますが、普通の中性洗剤でもできます)
  • 液体せんたくのり
    …この他に、ガムシロップやはちみつ、濃い砂糖の水溶液なども、われにくくする効果があります。
  • ぬるま湯
  • 計量スプーン
  • プラスチックコップなどの入れ物:数個
  • トレーシングペーパー(または乳白色のポリ袋)
  • 黒い下じき
  • ストロー
  • ライトスタンド
  • <応用じっけん>

  • 色セロハン(一辺が30cmぐらいの大きさ)

組み立てよう!

step1 シャボン液を作ろう

プラスチックのコップなどに水(ぬるま湯)30mL、液体せんたくのり10~15mLを入れて、割りばしなどでしっかりかき混ぜます。泡がでないようにゆっくりと混ぜるのがコツです。

水ものりもとうめいなので、まざったかどうかがよくわかりません。少なくとも1分間ぐらいまぜるといいでしょう。

step2

1に、さらに中性洗剤3~5mLを加えて、同じように静かに混ぜます(コンパクトタイプでない普通の中性洗剤なら5~10mL)。ガムシロップやはちみつ、あるいはこい砂糖水などを2~5mLほど加えるとさらに効果的です。

step3

まぜた液は、そのまま1時間ほど置いておきます。表面の泡がへってきたらじっけんをはじめましょう。

少し詳しい解説

液体せんたくのりを入れるとシャボン玉が丈夫になるのは、せんたくのりの分子(ものを作っているとても細かいつぶ)がシャボン膜を強くするためです。
のりやハチミツなどのどろっとした液体は、たくさんの物質(原子や分子)が細長くつながったひものような「高分子」という分子でできています。細長いのでからまり合い、水のようにはさらっと流れません。このひものような高分子がシャボン液の中にひろがって膜を補強するので、シャボン膜が割れにくくなるのです。

山村 紳一郎(やまむら しんいちろう)先生
さまざまな雑誌や書籍、イベントで自然科学の最先端情報から科学の楽しみ方・遊び方を、紹介・提案し続けるサイエンスライター。
和光大学非常勤講師。成蹊学園サステナビリティ教育研究センター客員フェロー。

観察してみよう!

step1 シャボン玉を作ろう

黒い下じきなど水を通さないものの上に、作ったシャボン液をほんのすこしたらして、指で直径15cmぐらいにひろげます。

step2

ストローの先をシャボン液につけて広げた部分の真ん中につけ、息を吹きこんでシャボン玉をつくります。シャボン液を広げた部分より少し小さめにします。

息はゆっくりとはき出し、少しずつふくらませます。勢いよく吹くとシャボン玉が割れたり、小さなシャボン玉がたくさんできたりします。

step3

トレーシングペーパーあるいは乳白色のポリ袋を手で持って広げ、電灯やライトスタンドなどの光を出すものとシャボン玉の間にかぶせるようにかざします。

応用実験「まっ赤な虹を観察」

トレーシングペーパーに赤セロハンをかさねてかぶせると、写真のような赤い虹ができます。白い光で見た場合とはちがった見え方になります。

step4 写真を撮ろう

作例1

作例2

  1. デジタルカメラなどで撮影するときは、周囲を暗くして電灯などの灯りだけで撮るとうまくいきます。(カメラのストロボはオフにしておきます。)
  2. 色セロハンを使うときはカメラが自動調節で色バランスをひんぱんに変えてしまうので、「カラーバランス」を「晴れ」または「電灯」に設定すると落ち着いて撮ることができます。

シャボン液は口や目に入らないように気をつけましょう。小さな兄弟が誤って飲んだりしないよう、実験のあとはきちんとかたづけましょう。

こぼしてしまったときは、すぐにぬれたぞうきんで良くふき取りましょう。

なぜ、いろいろな色の虹もようになるの?

シャボン玉の表面に当たった光は膜で反射するとき、膜の厚さによって特定の色が強まったり別の色が弱まったりします。シャボン玉の膜の厚さは部分ごとにちがうので、その厚さに応じた色が現れ、いろいろな色の虹もようになるのです。

シャボン玉にそっと息を吹きかけると、虹が流れて動きます。これは空気の流れでシャボン膜の厚さが変化するためです。

しばらく観察しているとシャボン玉の上の方に光を反射しない黒い部分が現れます。これはシャボン膜がどの色の光も反射しにくいほど薄くなっているためです。

2つの波が重なるとき

シャボン膜で光がはね返るとき

膜の厚さが変わるとき

少し詳しい解説

光には波の性質があります。その波の波長(山と山、谷と谷の間隔)のちがいが「色」のちがいです。例えば100万分の35mmの波長は青に、100万分の70mmの光は赤というように、ある波長の光はある特定の色になります。このような波の2つが重なるとき、山と山が重なると強まり、山と谷が重なると弱まります。

シャボン膜は表面と裏面で光が反射しますが、その間隔は見わけられないほどなので、2つの光は重なって見えます。ただし、裏面で反射した光のほうが膜の厚さぶんだけ(膜の厚さの約2倍)長い距離を走って目に届きます。よぶんに走る距離がある色の波長と同じだと、目に届くときに波が強まるのでその色が濃く見えるのです(よぶんに走る距離が波長の半分だとその色は弱まります)。

山村 紳一郎(やまむら しんいちろう)先生
さまざまな雑誌や書籍、イベントで自然科学の最先端情報から科学の楽しみ方・遊び方を、紹介・提案し続けるサイエンスライター。
和光大学非常勤講師。成蹊学園サステナビリティ教育研究センター客員フェロー。

もっとしろう!

電球や蛍光灯、LED電灯、窓(外の光)など、光るもの(光源)の違いで虹にはちがいがあるでしょうか。ライトスタンドや懐中電灯などでも試してみましょう。

水と液体せんたくのり、洗剤の比率を変えると、シャボン膜の丈夫さは変化するでしょうか。また、ハチミツや砂糖などを加えたとき、その種類や量で起きる変化など、シャボン膜についてもくらべてみましょう。

まとめてみよう!

この実験には、
1:シャボン膜の色の観察
2:シャボン膜を丈夫にする工夫
の、大きく2つの内容があります。
それぞれについて考えながら、やったことや気づいたことをノートにまとめていくといいでしょう。

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