- デジタルカメラ(長秒時撮影ができるもの)
- 三脚
- 懐中電灯、またはペンライト
- 色のついたセロハン
- はさみ
- セロハンテープ、輪ゴム
光でてじな
上図のような写真を撮れたら、おもしろいと思いませんか?
これはデジタルカメラと懐中電灯さえあれば、誰にでもできる写真です。
さあ、やってみましょう!
はさみを使う時には、ケガをしないように、十分に注意しましょう。
夜の屋外撮影は、大人と一緒にしましょう。
デジタルカメラを三脚にセットして撮影したい範囲を決めます。
真っ暗で写る範囲がわからない時にはデジタルカメラの液晶画面を見ながら、懐中電灯で上下左右の写る範囲を照らして確認します。確認した時、地面に動ける範囲の目印を置いておくとあとで便利です。
コンパクトデジタルカメラ(IXY)の場合、カメラの撮影モードを「長秒時撮影モード」にします。カメラの種類によって秒数が違いますが、できるだけ長く設定するとよいでしょう。キヤノンのコンパクトデジタルカメラでは最大15秒まで設定できます。(この写真のIXY 30Sはマニュアル設定ができるのでいろいろな撮り方を試せます。)
※カメラの種類により表示画面やボタン位置、設定が異なることがあります。
※カメラの設定は、撮影場所に行く前に練習しておきましょう。
デジタル一眼レフカメラの場合、シャッタースピードを30秒まで設定することができるほか、マニュアルモードでBULB(バルブ)設定にするとシャッターボタンを押している間、シャッターが開いたままになります。シャッタースピード以外にしぼり(F値)も調整できます。
※カメラの設定は、撮影場所に行く前に練習しておきましょう。
デジタルカメラのシャッターボタンを押すと設定した秒数の間、シャッターが開いています。その間に懐中電灯などのあかりで絵を描きます。
左の写真は長秒時撮影モードの秒数を5秒に設定して撮影しました。
まずは、○や△などの簡単な図形から始めると撮影のコツがつかめてきます。懐中電灯に色セロハンをかぶせると、色のついた絵を描くこともできます。いろいろためしてみましょう。
描いた絵がぐちゃぐちゃになった
途中までしか描けない
画面が真っ白になった
描いた絵が写らなかった
描いた文字が逆になってしまった
友達と描いたがバラバラになった
何回も同じ場所で描いていませんか?
同じ場所近くを何回も光が通ると絵は重なってしまいます。
同じところには描かないようにしたり、懐中電灯のスイッチを切ったりして工夫してみましょう。
シャッターが開いてる時間内に描けなくて、絵が途中までになることはよくあることです。
次の方法をためしてみましょう。
1. 設定した秒数を読みあげながら絵を描くと時間がわかって便利です。
2. シャッターを押す人と絵を描く人を別にしてみましょう。
3. どうしてもむずかしかったら、シャッター時間内に描ける絵にしましょう。
まわりに明るい街灯や広告灯などがありませんか?
PikaPikaは、シャッタースピードを遅くして撮影するので、まわりに照明などの明るいものがあると写真が明るくなりすぎてしまいます。
しぼり(F値)を大きめに設定すれば光の通る穴が小さくなるので、明るさをおさえることができます。また、シャッタースピードだけを速くしたり遅くしたりすることでも、写真の明るさを変えられます。
懐中電灯の光はカメラに向いていますか?
懐中電灯の光をカメラに向け、ゆっくり動かせば必ず写ります。
動きが速すぎると写らないこともありますので、あわてず一定の速さで描いてみましょう。
PikaPikaで書いた文字は左右が逆になります。
文字を書くときには、書きたい文字を紙に太いマジックなどで書いて裏返しにしたものを見ながら練習してからやると、うまく書くことができます。
友達と共同で絵を描く場合には、事前に描きたい絵を紙に描き、どの部分を誰が担当するか役割を決めてからためしてみましょう。
山村 紳一郎(やまむら しんいちろう)先生
さまざまな雑誌や書籍、イベントで自然科学の最先端情報から科学の楽しみ方・遊び方を、紹介・提案し続けるサイエンスライター。
和光大学非常勤講師。成蹊学園サステナビリティ教育研究センター客員フェロー。
PikaPikaはカメラの写る範囲であれば、何人でも参加できます。 文字を書くこともできるので、誕生日カードやクリスマスカード、年賀はがき、クラスの記念写真として作ってみましょう。
人物がいっしょに入った写真を撮ってみよう。
PikaPikaはシャッターの開いている時間内に、懐中電灯などを使って絵を描きました。それでは夜、車など光を発しながら動くものを長時間シャッターで撮影したらどうなるでしょうか。
撮影するときには必ず大人といっしょに行きましょう。
デジタル一眼レフカメラで撮影 画像提供:栗田直幸
イメージセンサー
シャッター速度の比較写真 おそいvs速い
しぼりの写真:開いたところ・しぼったところ
右のような星空の写真を理科の教科書などで見たことがありますか?
この写真はデジタル一眼レフカメラで数時間カメラのシャッターを開けて撮影したものです。写真にある白く細長い帯は、動いた星の光の跡(あと)です。
PikaPikaも同じようにデジタルカメラの
「シャッターが開いている時間」=「シャッタースピード」
を利用して作ります。
デジタルカメラのシャッターを長く開けて、その間に懐中電灯の光を動かして絵を描きます。この時に光が動いたあとが写真に写るのです。
このような写真が撮影できるのはカメラが持つ機能(きのう)「シャッターとしぼり」の原理に関係しています。それではシャッターとしぼりとはどういうものでしょうか?
人が、網膜(もうまく)で感じた光を目から脳につたえて記憶するように、デジタルカメラではイメージセンサーが光を感じ、電気の信号にして、デジタルカメラの脳(映像エンジン)に伝えています。
そのため、網膜(もうまく)の役割であるイメージセンサーに明るすぎでもなく暗すぎてもいない「ちょうどよい量の光」をあてる必要があります。その光の量の調節を行っているのが、「シャッター」と「しぼり」です。
シャッターは、開いている時間の長さで光の量=明るさを調節します。
シャッターが開いている時間が長い(=シャッタースピードが遅い)ほど、多くの光が入り明るくなります。逆にシャッターが開いている時間が短い(=シャッタースピードが速い)ほど、光が少なく暗くなります。
しぼりは、レンズを通して入って来た光の量=明るさを調節するしくみです。しぼりが開くほど、多くの光が入って明るくなります。
シャッターが開く時間としぼりの2つの関係によって「ちょうどよい光の量」をイメージセンサーに伝えているのです。
例えば、シャッタースピードを遅くするときは、しぼりを調節して光の入る穴を小さくすれば、「ちょうどよい光の量」になります。また逆に、シャッタースピードを速くするときは、しぼりを開けて光の入る量を多くすれば「ちょうどよい光の量」になります。
この調節をしないと、レンズから入る光が多すぎる場合は白っぽい写真に、逆に光が少なすぎると黒っぽい写真になってしまいます。
撮影するものが暗い時は、イメージセンサーが必要とする光の量を得るためにシャッタースピードを遅くし、しぼりを開けて撮影する必要がありますが、多くのコンパクトデジタルカメラでは、より簡単に撮影できるようにシャッタースピードに合わせて、しぼりをカメラが自動的に調節しています。そのため、しぼりを手動で調節することはできません。
一方、デジタル一眼レフカメラでは「シャッター」と「しぼり」を自由に調節して撮影することができるので、さらにいろいろな写真を撮ることができます。ぜひ、ためしてみてください。
では、どうしてシャッタースピードを遅くするとPikaPikaができるのでしょうか?
デジタルカメラはシャッターが開いている間、レンズから入ってくる光を映像エンジンに記録します。
PikaPikaは、シャッターが開いている間に暗いところで懐中電灯を使って絵を描きます。シャッターを長く開け、しぼりを調節すれば、光の線が写るような「ちょうどよい明るさ」にすることができます。
懐中電灯の光が筆(ふで)で絵を描いたように線になって写るのは、シャッターが開いている間、光の動きを映像エンジンが記憶して1枚の写真にするからです。こうして筆で絵を描いたような写真"PikaPika"ができるのです。
イメージセンサーとは、撮像センサーのことをいいます。詳しくは、
しぼり値は、単位をFで表すためF値ともいいます。F値は、値が大きいほど光の通る穴が小さいので光の量は少なく、値が小さいほど光の通る穴が大きいので光の量は多くなります。
「シャッター」と「しぼり」について、詳しくは、
山村 紳一郎(やまむら しんいちろう)先生
さまざまな雑誌や書籍、イベントで自然科学の最先端情報から科学の楽しみ方・遊び方を、紹介・提案し続けるサイエンスライター。
和光大学非常勤講師。成蹊学園サステナビリティ教育研究センター客員フェロー。
光でてじな
レンズとミラーを作ってみよう
カメラを作ってみよう
望遠鏡を作ってみよう
色で遊んでみよう
太陽光を利用しよう