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光の“正体”は?

世界中で大かつやく。「LED」のなぜ?どうして?

わたしたち人類はその歴史の大部分で、火をあかりとして使ってきました。しかし19世紀(せいき)の終わりに電球が登場して、あかりの主役は電気の光になりました。20世紀後半からは「けい光灯」も広く使われてきましたが、21世紀になると「LED」があかりだけでなく光の主役になっています。「LED」がどうして光の主役になったのか?そもそも、なぜ光るのか?特ちょうやしくみ、ひろがりを見ていきましょう。

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なぜ、LED?

LEDという言葉は、みなさんも聞いたことがあると思います。LEDは、日本語では「発光ダイオード」といい、英語のライト・エミッティング・ダイオード(Light Emitting Diode)の頭の文字をつなげたものです。家の照明、パソコンや電気製品(せいひん)についている小さなランプから、街にある信号機、大型(おおがた)ビジョン、電光けいじ板、自動車のヘッドライトなどなど。いま、「光を出す道具」のほとんどがLEDでできている…といってもいいすぎではないほどです。

なぜ、これほどさまざまな場所で使われているのでしょうか?それはLEDがこれまで電気の光として使われていた「電球」や「けい光灯」にくらべ、すぐれている点がとても多いためです。
たとえば使う電気(=消費(しょうひ)電力)は電球の約1/8〜1/6、けい光灯の1/2〜2/3と、省エネルギーにすぐれています。そして使える時間、つまり「じゅ命(じゅみょう)」が長く、電球のだいたい50倍、けい光灯のだいたい5倍も取りかえずに(=交換(こうかん)しないで)使えるとされています。さらにこのほかにも、あとでしょうかいするような、もっともっとすぐれたところがあるのです。

LEDのあかり 写真提供(ていきょう):アイリスオーヤマ株式会社(かぶしきがいしゃ)

LEDのあかり
写真提供(ていきょう):アイリスオーヤマ株式会社(かぶしきがいしゃ)

LEDを使った信号機

LEDを使った信号機

LEDってなに?

LEDは、コンピューターやスマートフォンの頭脳(ずのう)の役わりをするCPUやメモリーと同じ「半導体(はんどうたい)」を使った電気の部品(=電子部品)のひとつです。熱とは関係なく光が出ることを「ルミネッセンス」とよんでいますが、LEDは、そのなかでも電気を流すと光が出る「エレクトロルミネッセンス」というはたらきを利用して、発光するしくみになっています。

  • ※ 電流を通さない「絶縁体(ぜつえんたい)」とよく通す「良導体(りょうどうたい)」の中間の性質(せいしつ=もとからある特ちょう)をもち、いくつかの半導体どうしを組み合わせると電流を通したり止めたりできるため、それを利用してスイッチの役目をする「トランジスタ」や一方向だけに電流を流す「ダイオード」などの電子部品がつくられています。たとえば、スマートフォンでは、数百億個のトランジスタがはたらいています
LEDの発光は電気でおきるルミネッセンスです

LEDの発光は電気でおきるルミネッセンスです

LEDはいいことづくめ

省エネルギーや長じゅ命のほかにも、LEDには電球やけい光灯などとちがった、さまざまな長所があります。

  • 小さくて、軽い:LEDは光を出す部分がとても小さく、数mm以下の大きさにもできます。そして軽いため、せまい場所や小さな装置(そうち)にもいれることができます。
  • こわれにくい:まわりがプラスチックでつつまれた小さな部品なので、こわれにくく、身のまわりのものや動くものにも使えます。
  • ある決めた色だけの光をつくりだせる:光の色は波長のちがいです。LEDは光る部分に使う半導体にいろいろな物質(ぶっしつ)※1をまぜることで、さまざま波長=色の光を出すことができます※2。さらに、目に見えない赤外線や「し外線」もつくることができます。
  • 自由なかたちにできる:多くは丸いつぶの形ですが、サイコロ型や八角形など自由な形にでき、つながったテープにするなどさまざまな加工もかんたんにできます。
  • 安くできる:LEDを生産する設備(せつび)はかなり高いですが、半導体を使ったほかの電子部品と同じようにいっぺんにたくさんつくることで、1つあたりのねだんを安くすることができます。電球やけい光灯より使うエネルギーが少ないことや交換も少なくてすむことを考えると、長く使えるLEDがずっと安い計算になります。
  • かんきょうの時代にぴったり:けい光灯には、人間に害のある水銀が使われていますが、LEDにはその心配がありません。また、使った電気をどれだけ光に変えられるか(=発光効率(こうりつ))は、電球の8倍、けい光灯の約2倍も高いとされます。かんきょうの時代にあったあかりなのです。
  • ※1 じっさいにある「もの」のことです。目には見えない「空気」も物質のひとつです
  • ※2 まぜる物質を工夫しても、ひとつのLEDでは白い光が出せません。そこで白色LEDではいくつかの色のLEDを組み合わせるなどして、白い光をつくります
人間に見える光の色と波長

人間に見える光の色と波長

小さくて、軽く、テープのようにもできます

小さくて、軽く、テープのようにもできます

農業や漁業でも大かつやく

LEDはLEDならではの長所をいかして、あかりだけでなく、さまざまな場面でその力をはっきしています。大きな街やスタジアムでよく見られる大型ビジョンでは、光の三原色「赤(=R)、緑(=G)、青(=B)」のLEDをとなりあわせにたくさんならべ、それぞれの光をまぜあわせてあらゆる色をつくりだし、屋外でも明るく見える映像(えいぞう)を送りだしています。

また、光は植物の成長にかかせませんが、光の色と植物の成長の間にはとても深い関係があります。照明を使って野菜などを育てる植物工場では、とくていの色の光を出すLEDが多く使われています。植物が酸素(さんそ)や養分をつくりだす光合成を行うクロロフィルは赤い光(=波長600~700ナノメートルくらい)をよく取りこむ(=吸収(きゅうしゅう)する)ので、LEDで赤い光をあてると成長が早まります。また、発芽を進める、栄養分をふやす、味をよくする…などにぴったりな明るさや光の色(=波長)があります。このため、明るさや色を手軽に、またせいみつにコントロールできるLEDがとてもあっています。

LEDは、漁業でもかつやくしています。光に集まる習性(しゅうせい=生まれつきの行動のくせ)をもっているイカは、波長が470~490ナノメートルという青から青緑の光が一番明るく見え、集まってきます。これを利用して、青緑や青のLEDの照明がイカ漁に使われています。青い光は、海の中では一番遠くまでとどき、LEDは電力が少なくてすむため、漁船の燃料(ねんりょう)代の節約にも役立っています。

光の波長と植物の育ち方の関係

光の波長と植物の育ち方の関係

LED照明を使った野菜工場

LED照明を使った野菜工場

決まった波長を出せるLEDならではの利用

し外線で発光する特別なインクを使って文字や記号を印刷しておいたものに、し外線をあてると、見えなかった文字や記号が見えるようになります。このしくみに「し外線LED」が使われ、お札やパスポートのぎぞう防止(ぼうし)や検査(けんさ)、手紙やはがきの配達先の仕分けなどでかつやくしています。「し外線LED」は水や空気の「さっきん」や、ウイルスの「不活化(ふかつか=活動できなくすること)」もできるため、エアコンやじょう水器、空気せいじょう機などに利用されるとともに、これらの機械の小型化(こがたか)にも役立っています。

さらに、美容(びよう)や医りょうでのLED利用もふえています。青色光などエネルギーの大きな光がもつ「さっきん」の効果(こうか)でニキビのケアをしたり、赤色光や赤外光が「はだ」のケアや関節のいたみをやわらげる、温めてケガの治りを早めるなどといったことも行われています。これは、人体にむだな光をあてることなく、決められた波長の光だけがつくれるというLEDならではの特ちょうをいかした光の利用です。

  • ※ 青など波長の短い光のほうが、もっているエネルギーは大きくなります
郵便物に印刷された見えないバーコード

郵便物に印刷された見えないバーコード

光が出るしくみ

では、LEDはどのようなしくみで光を出すのでしょうか。実はLEDは、電球やけい光灯とはまったくちがうしくみで光っています。

電球では、中のフィラメントという細い線に電流を流すと、電気ていこうで熱が発生し、1000数百℃になると白っぽい光が出ます。また、けい光灯ではガラス管の中で放電をおこして「し外線」を発生させ、ガラス管の内側にぬった「けい光物質」にあてることで、目に見える光にしています。

これに対してLEDは熱とは関係なく、半導体の中でマイナスの電気をもつ「電子」がプラスの電気をおびた「あな(=正こう)」と結合したときに、あまったエネルギーが光になって出るというしくみです。
じっさいには、LEDは、性質にちがいがある2種類(=n型とp型)の半導体をつき合わせるようにつくられています。2種類ともシリコンという物質でできていますが、まぜこんである物質がちがうために性質に差があります。n型半導体にマイナスの電極をつけると活発に動く(=エネルギーの高い)電子ができ、プラスの電極側のp型にできた正こうと結びつきます。すると、電子は安定して活動がおさまる(=エネルギーが低くなる)ため、あまったエネルギーが光として放出されるのです。

  • ※  「正こう」は漢字では「正孔」と書きます。「孔」はあなという意味で、ものの中にある電子(=マイナスの電気をもった「つぶ」)が何かの理由で動くと、その部分が、ちょうどあなのようにぽつんとプラスになるために、こうよばれています。
LED(=発光ダイオード)のしくみ

LED(=発光ダイオード)のしくみ

何年もつくれなかった青のLED

LEDのしくみ(=原理)のもとになる炭化ケイ素(たんかけいそ)の「電流による発光(=エレクトロルミネセンス)」は1907年に発見されました。しかし、じっさいに使える(=実用化)レベルの光を出すLEDが開発されたのは半世紀以上がたった1962年でした。ただ、このLEDは赤い光しか出せませんでした。その後1970年代になると、黄色、オレンジ、緑などのLEDがつぎつぎに実用化され、信号機や電光けいじ板などに使われるようになります。しかし、ふつうのあかりに必要な「白い光」をつくることはできないままでした。

白い光をつくるには、光の三原色「赤(=R)、緑(=G)、青(=B)」が必要です。赤と緑のLEDは早いうちに実用化されましたが、青いLEDが何年もつくれませんでした。理由は、青色LEDをつくるのに必要な材料であるちっ化ガリウム(=GaN)という物質の結しょう(=小さなつぶがきれいにならんだかたまり)をうまくつくれなかったためです。

世界中の研究者がちょうせんしながら失敗が続いたために「青色LEDはつくれない」というムードさえただようなかで、1990年代になって、ついに日本の赤崎勇(あかさきいさむ 1929-2021)、天野浩(あまのひろし 1960-)、中村修二(なかむらしゅうじ 1954-)らの研究者たちによって、とても明るい(=高き度の)青色LEDが実用化され、これをもとに白色LEDができるようになりました。この功績(こうせき)によって、この3人の研究者は2014年のノーベル物理学賞(しょう)を受賞しています。

  • ※ ちっ素とガリウムという元素を結びつけたもの(=化合物)。元素とは「すべてのもののもとになっている物質」で、だれもが知っている酸素(さんそ)、金などをはじめ、これまでに約120種類が発見されています。元素にはそれぞれ記号があって、ちっ素は「N」、ガリウムは「Ga」なので、ちっ化ガリウムは「GaN」であらわします
青色LED

青色LED

青色LEDの発明によってできるようになったフルカラーの電光けいじ板

青色LEDの発明によってできるようになったフルカラーの電光けいじ板

白色LEDのひみつ

白色光をつくるには光の三原色「赤(=R)、緑(=G)、青(=B)」をまぜるだけでなく、別の方法も使われています。
たとえば青色LEDを本体として、発光部分のごく近くに黄色のけい光体をおく方法です。まず、青色LEDから出た青い光がけい光体をしげきして黄色の光を出させます。黄色の光は緑と赤の光がまざるとできる色なので、これが青い光とまざると、合わさった光はほぼ白色に見えます。白色LEDのかい中電灯や照明用など、「あかり」として使われるLEDの多くはこの方法でつくられます。そうすれば、赤や緑のLEDはいらず、安くたくさんつくることができるのです。

光の3原色の関係。赤と緑をまぜた「黄色」と青をまぜると白になることがわかります

光の3原色の関係。赤と緑をまぜた「黄色」と青をまぜると白になることがわかります

白色LED

白色LED

LEDにも弱点はいくつかある

すぐれたところばかりが目立つLEDですが、注意しなければいけない点もいくつかあります。そのひとつが熱問題で、電球などにくらべるとはるかに発生する熱は小さいものの、それでも熱がたまります。温度が高くなりすぎると発光効率(こうりつ)が悪くなったり、光の色が変わったり、じゅ命が短くなることがあります。ですので熱をうまくにがすしくみの工夫はかかせません。
また、使う電源(でんげん)の種類や回路の設計(せっけい)によっては目に見えるちらつきがおきたり、見えないけれども目や脳(のう)に無理をさせて、つかれさせてしまう場合があります。電源や回路を設計するときにはじゅうぶんに注意する必要があります。

LEDのこれから

いま、主につくられているLEDは小さくても直径3〜1mmほどですが、数µm〜数十µm(ミクロンメートル=1000分の1mm)まで小さくしたマイクロLEDの開発が進められています。これによって、えきしょうや有機EL(=OLED)といったディスプレイより、より明るく、画面への焼きつき(=長く映(うつ)した映像(えいぞう)のあとが残ること)も少なく、省エネルギー、長じゅ命の「次世代ディスプレイ」が生まれるという期待が高まっています。これまでのディスプレイでは、よく見えないことがあった屋外や車で見るディスプレイなどでのかつやくも楽しみです。

さらに、これからのLEDの使い道として期待されているのが、光データ通信です。LEDは電流が流れればただちに点灯し、切ればただちに消灯します。電球などにあるタイムラグ(=点灯消灯のタイミングのずれ)がないのでデータ通信にも使うことができ、たとえば病院や飛行機の中などのように、電波を使えないような場所で、Wi-Fiのかわりや通信のサポートすることが考えられています。また、かべがあれば通信をさえぎることができるので、セキュリティにもすぐれた技術(ぎじゅつ)でもあります。そして、マイクロLEDならもっと高速に点めつできるため、大量のデータをすばやく送ったり、受け取ったりする通信方法としてもかつやくの場をふやしていくことでしょう。

LEDは電流を出す?
右の写真のように、LEDに光をあてるとテスターに出る数字が大きくなります

右の写真のように、LEDに光をあてるとテスターに出る数字が大きくなります

LEDは「電流を光に変化させる部品」ですが、光を受けるとわずかながら電流を出す、つまり光を電流に変化させるはたらきももっています。
写真のようにLEDをテスターにつなぎ、いちばん小さな電流を調べられるようにセットします。そこにLEDかい中電灯などの強い光を、セットしたLEDの発光部分にあてると、電流が流れたことがわかります。光を受けとるとLEDの内部に電子と正こうが発生して、電子が移動(いどう)したのです。

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光の“正体”は?

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